香港学習塾 epis Education Centre

わかば深圳教室 教室長ブログ

教室長末木千尋

2011年12月に香港へ赴任。旧九龍教室、わかば深圳教室とで合計6年間勤務をし、2017年から再び深圳へ。きめ細やかなサポートには定評があり、時間が経つのも忘れついつい話し込んでしまうことも。本気で立ち向かう生徒の守護神として頼れるアネゴ的存在であるスエキチ先生は、衣食住どれをとっても刺激の絶えないここ深圳での生活がお気に入り。暑さには弱いが辛さには強い。好物は山椒のたっぷり入った激辛料理全般だとか。

CAD &3Dワークショップ開催中!

土曜日の午後、ただいま中2の生徒を中心に「やまやん先生のCAD&3Dプリンターワークショップ」を開催中です。

パソコンやiPadに専用のアプリをダウンロードして、3Dプリンターで作成したい作品を各々デザインしています。


ふだんの授業ではなかなか見られないほどの集中力で、次々と奇抜なデザインを生み出していきます。

使い始めたばかりのアプリも、彼らの手にかかればお手もの。あっという間に、使い方をマスターしてしまいます。



さあ、思ったとおりに出来上がるでしょうか...

わかば深セン教室では、12月から、VRやAR、CAD、3Dプリンターをフル活用したワークショップを実施していきます。「モノ作りって楽しい!」って思えるイベントをいろいろ開催していきますので、ぜひご期待ください!


さあ、国慶節連休も終了、今日からエンジン全開だ!!

国慶節明け、土曜日からエピスの10月度通常授業がスタートしました。
深圳日本人学校も今日から2学期、新しい先生たちもやっと赴任できたようで、少しずつ日常が戻りつつあります。
episでは2月からオンライン授業、6月から対面授業も復活し、オンラインとオフラインのハイブリッド授業を続けています。
これからも、さまざまな新しい取り組みに挑戦していく予定ですが、教室に生徒たちの元気な声が戻ってきたことが、何よりのエネルギー源ですね。


教室再開に向けて準備中です!

春節明けから、オンライン授業1本になっていた深圳教室の教室授業再開に向け、ただいま着々と準備を進めております。

先週末には教室消毒、今週には職員のPCR検査を済ませました。ちょうど先ほど、検査結果が届いたところで、もちろん全員、陰性です。

私自身、2月29日に蘇州より異動してきたため、まだ、一部の生徒以外、画面を通してしか顔を合わせていません。これから少しずつ日常が戻り、生徒のみなさんと直接対面できることが楽しみでなりませんね。


また、他の講師にとっても、約5月ぶりの対面となるわけで、「大きくなったなー」なんて親戚のおじさんみたいなセリフを吐いてしまいそうな予感がします。

今後のスケジュールなどについては、決まり次第、みなさまにお伝えして参りますので、今しばらくお待ちください。


2020年、新年のご挨拶。

潮汕地区の民家におじゃましました。


2020年、新年のご挨拶。

明けましておめでとうございます。

2020年は区切りのいい数の年であったり、オリンピックイヤーであったり、10連続偶数の平方の和(2020 = 4の2乗 + 6の2乗 + 8の2乗 + 10の2乗 + 12の2乗 + 14の2乗 + 16の2乗 + 18の2乗 + 20の2乗 + 22の2乗)であったりということもあり、特別な年を迎える感があります。

新しい1年を迎え、私個人としては「未知との遭遇」を意識した1年にしたいと思っています。

映画『未知との遭遇』は好きですが、特に関係ありません。語呂がいいので「未知との遭遇」という言葉を使っていますが、より「偶然性」を大切にしていきたいという意図です。


潮汕地区の民家群

ネット検索やインターネットでニュースの閲覧時に表示される広告は、私自身の過去の検索ワード、閲覧履歴などから推測される私自身に最適化された内容です。ニュースアプリも私の興味の範疇である「教育」「深セン」「プログラミング」などの自身が設定したキーワードを元にフィルタリングされたニュースだけを読むことができます。

情報が溢れる時代において情報の選択、情報リテラシーは必須ですが、あまりに過度な情報の絞り込みは、興味のある世界により深く入り込む良さがある反面、興味のない世界と隔絶する可能性も生み出します。

2019年に際立った自国第一主義、反グローバリズムによる世界の分断は、単に国家のリーダーや政治家たちだけの責任ではなく、一般市民の思想の偏りも原因なのではないかと思っています。自分の興味のある情報、好きな情報だけに触れていては、他人を、異文化を理解し、許容する力は失われていくのではないかと思っています。


村の子供たち。ドローンは初めて?

そんな思いにも駆られ、意図された情報の中に浸かりきった生活から脱し、「偶然性」を意図的に得るべく、大晦日の朝に思い立って長年行けずにいた広東省東部(深セン市から東に300km)のとある村へ一泊二日のショートトリップに飛び出しました。

私の目的(未知との遭遇)に良い具合に、その村に関する情報は日本語でネット検索しても全く出てきません(中国語でわずかにヒットしました)。私がたまたま高速鉄道の車窓から見かけて気になっていた古民家がある村です。

私はその村に辿り着けるかどうかさえも不安だったので、それらの古民家を間近に見ることができたら大満足だったのですが、思いがけない2つの体験をしました。1つは村挙げての葬儀(出棺の行列)に出くわしたことです。

その村の出棺では村人全員(400人くらい)が参加していると思われるほどの行列で、ド派手に大砲を打ち鳴らし、マーチングバンドも加わって盛大に送り出しているのです。人が生命を全うし、その最期の(新たな?)旅立ちを村人が祝福しているような光景は、私の死生観に深く何かを刻まれる感覚がありました。


おじいさんが工夫茶を振舞ってくれる。

もう1つは、ドローンを飛ばして村を空撮していた私(明らかに村人と服装が違う)に、村の子供達が群がってきて、ちょうど昼食時だったため、子供達やおばあさんに誘われる形で民家に招き入れられ、食事や潮汕地区に伝わる伝統文化である工夫茶(濃くて苦い烏龍茶)を振舞っていただいたことです。

この素朴な村人との交流の中で感じたのは、この3年間で劇的な発展を遂げた深セン市での生活に比べると、この村での生活は10年20年と大きな変化がないのではないかということです。

私自身は急激に変化する深センで暮らしているので、あたかも世界中が大きな変化を遂げているかと錯覚していましたが、何も変わらず平和に幸せに暮らしている人々が割と近くにいて、それにも気づかず或いはは無視して自分たちの経済第一主義的な社会に巻き込んでしまっているのだと思いました。


おばあさんが昼食を振舞ってくれる。

私たちの身近なところにも小さな分断が起こっており、それが少しずつ積もってきているのかもしれません。それが世界の大きな分断のきっかけにならないよう自分自身ができることが、「未知との遭遇」だと思っています。

旅行に限らず、人との出会いと対話を大切にして2020年という節目の年を豊かな年にしていきたいと思います。


埼玉大学STEM教育研究センターSTEMキャンプ in 深圳

ワークショップで使う材料。限られた材料で課題をクリアする。

2002年からものづくり活動を通した教育を初めている埼玉大学STEM教育研究センターが夏の国際STEMキャンプと銘打って2019年8月に香港・深圳を訪れ、わかば深圳教室ではSTEMワークショップ、顔認証技術・自動運転技術で知られるAI企業センスタイム社訪問、深圳の夜を彩るLEDマッピングショーの見学のお手伝いをしました。

同センターのワークショップは2002年から長年の教育の蓄積があるだけに非常に学びの多い内容でした。このワークショップでのメイン教材となったのは同センターで開発したオリジナルのマイコンボード「STEM Du」とプラダン(プラスチックダンボール)です。


このSTEM Duとプラダンとプラグラミングを駆使することでその日の課題に挑戦します。STEM Duはプログラミング学習用のマイコンボードとして最低限の機能を備えているだけなので、性能・機能で比較してしまえば、Arduinoやmicro:bitとは比較できるものではありませんが、これは開発者でワークショップの講師をされた埼玉大学の野村先生の意図するところで、「性能・機能が制限されることで1つの課題をクリアするために様々な工夫が必要」になります。課題のクリアが目的なのではなく、その過程にある試行錯誤こそが非常に重要だということです。その日のワークショップはライントレースカーを仕上げることでしたが、実際に誰一人として同じ形の車、同じプログラムなることはなく、生徒一人一人が工夫しながら問題を解決しようと試みていました。


試行錯誤をひたすら繰り返す生徒たち

床に貼られた黒いテープと床(白っぽい)を識別して車を走らせるにはどうしたらいいか?ロボットをプログラミングしたことのある生徒であれば、マイコンボードに色を識別できるカラーセンサーを新たに接続する必要があると思うかもしれません。しかし、このワークショップではそれは許されてはいません。それではどうするのか?今回はSTEM Duが備えている機能を工夫するしかありません。

ロボットカーをプログラミングによってライントレースさせるのはプログラミング教育における一種の流行です。この流行が思わぬ方向に向かうと「いかに簡単にプログラミングができるか」という思考になり、「ブロックによるプログラミングでこんなに簡単にライントレース カーを作れます!」という製品が誕生してしまいます。これは本末転倒で、そこには学びも何もなく簡単にライントレースカーを「組み立てる」ことができてしまいます。


材料は非常にシンプル。

ライントレースできることが大前提でその先に別な課題がある場合は、ライントレースにハードルを設ける必要はありませんが、ライントレースそのものが学びの中心にある場合、そのハードルを下げることは学習機会の喪失に繋がります。

このワークショップで生徒がの大課題は「ライントレースカーの作成」ですが、その過程にはいくつもの中課題、小課題があります。それは「センサーと床の距離」「プラダンと床の摩擦への対応」「車輪の回転速度(早すぎるとセンサーが対応できない)」「明るさへの対応(部屋が変わった場合、窓際と部屋の奥での違い)」など多岐に渡ります。


ライントレースカーのプログラムをお掃除ロボットに繋いで音声による制御にも挑戦

生徒たちは、機体とプログラミングの調整の試行錯誤を2時間以上続けたところで昼食の時間となりましたが、誰一人として手を止めようとする気配がなく、1時間延長し終えたところでやむなく中断。昼食を挟んでさらに1時間、計4時間以上試行錯誤を繰り返しました。それほどにこの課題だけでも熱中することができるということです。

この学びで培われるのは、いわゆる学科テストでは測りにくい21世紀型スキルで、プログラミング教育、STEAM教育は本来このような前のめりになれる環境が非常に重要で、このワークショップでは、想像力、問題解決能力などの力が自然と培われていきそうです。

深圳市が目指す「Maker教育(創客教育)」は、埼玉大学STEM教育センターの「ものづくり教育」によるSTEM教育と目指す方向性が非常に近いのですが、世界中のプログラミング教育、STEM教育が発展途上であるように、深圳のMaker教育も発展途上です。埼玉大学がその学びを10年以上前から続けているということで、今後、埼玉大学と深圳のSTEM教育のコラボレーションから生まれるSTEM教育の発展に期待できそうです。


未来の宇宙船のようなセンスタイムの展示ブース