2011年12月に香港へ赴任。旧九龍教室、わかば深圳教室とで合計6年間勤務をし、2017年から再び深圳へ。きめ細やかなサポートには定評があり、時間が経つのも忘れついつい話し込んでしまうことも。本気で立ち向かう生徒の守護神として頼れるアネゴ的存在であるスエキチ先生は、衣食住どれをとっても刺激の絶えないここ深圳での生活がお気に入り。暑さには弱いが辛さには強い。好物は山椒のたっぷり入った激辛料理全般だとか。
わかば深圳教室 教室長ブログ
教室長末木千尋
ワクワクの2021年にしましょう!
新年、あけましておめでとうございます。
2020年は様々な常識が覆される1年間でした。多くのイベントが中止に追いやられ、学校は一時休校となり、リモートワークが多くのサラリーマンの働き方を変えることになりました。
そんな「当たり前」が「当たり前」でなくなる激動の時代、エピス深圳教室では、VR機器を活用しバーチャルな空間を体験できる授業を次々と展開していきたいと考えています。
CADや3Dプリンターを利用してものづくりをデザインするデジファブラボのコースを筆頭に、小学生のSRクラスや中学生の理科・社会の授業でも、積極的にVRヘッドセットを活用していきます。
どうです、ワクワクしてきませんか?
新たな年、2021年をみなさん一緒に楽しんでいきましょう!!
タテの繋がりが強いのも深圳の魅力です!
11月から週末に開催してきたデジファブラボ、年内最後の開催「クリスマスライトを作ろう!」にたくさんの小学生が参加してくれました。3D CADを利用して、うずまき型のクリスマスキャンドルシェイドをデザインします。「CADなんて使ったことなーい!」なんて心配はご無用、ボランティアで参加してくれた中学生のお兄さん、お姉さんが優しく指導してくれます。
今日はデザインだけなので、すぐに作品が出来上がるわけではありません。今も教室の3Dプリンターはフル稼働で、みんなのデザインした作品をコツコツと作り上げてくれています。完成までにはもう少し、時間がかかりますので、みなさん、もう少しお待ちください!
また、新年度からは、SRクラスや、中学生の理科や社会の授業などで、CAD、3Dプリンター、VRの機器など最新デジタル機材を使った授業を展開してまいります。デジタルファブリケーション をテーマにした新クラスも開校予定ですので、乞うご期待!
算数脳の習得に、ことばの壁なんてない!
わかば深圳教室では、10月より中国人家庭のお子さん向けに「アルゴクラブ」の授業を実施しています。
「よろしくお願いします」「有難うございます」という挨拶から、アルゴクラブの3つのルール
「よいしせい」「よいあいさつ」「よいことばづかい」の読み合わせ、「背筋はピンッ、手はお膝!」「で〜きた!」というフレーズまで、授業はオール日本語で進められています。
はじめは、言葉がうまく伝わらず苦労するかもしれないと思っていたのですが、算数パズルという世界共通の「言語」を通じて、子どもたちは、あっという間にルールを習得し、楽しみながら学んでくれています。
パズルの上達はもちろん嬉しいのですが、毎回新しく学んだ日本語を私あてに披露してくれることも大きな楽しみで、今日は「今月は何月ですか?」「今日は何日ですか?」という日本語の問いかけを聞かせてくれました。
算数パズルを利用した、日本語のイマージョン教育。もっともっといろいろな中国の子供たちに参加してもらいたいと夢見ています。
埼玉大学STEM教育研究センターSTEMキャンプ in 深圳
2002年からものづくり活動を通した教育を初めている埼玉大学STEM教育研究センターが夏の国際STEMキャンプと銘打って2019年8月に香港・深圳を訪れ、わかば深圳教室ではSTEMワークショップ、顔認証技術・自動運転技術で知られるAI企業センスタイム社訪問、深圳の夜を彩るLEDマッピングショーの見学のお手伝いをしました。
同センターのワークショップは2002年から長年の教育の蓄積があるだけに非常に学びの多い内容でした。このワークショップでのメイン教材となったのは同センターで開発したオリジナルのマイコンボード「STEM Du」とプラダン(プラスチックダンボール)です。
このSTEM Duとプラダンとプラグラミングを駆使することでその日の課題に挑戦します。STEM Duはプログラミング学習用のマイコンボードとして最低限の機能を備えているだけなので、性能・機能で比較してしまえば、Arduinoやmicro:bitとは比較できるものではありませんが、これは開発者でワークショップの講師をされた埼玉大学の野村先生の意図するところで、「性能・機能が制限されることで1つの課題をクリアするために様々な工夫が必要」になります。課題のクリアが目的なのではなく、その過程にある試行錯誤こそが非常に重要だということです。その日のワークショップはライントレースカーを仕上げることでしたが、実際に誰一人として同じ形の車、同じプログラムなることはなく、生徒一人一人が工夫しながら問題を解決しようと試みていました。
床に貼られた黒いテープと床(白っぽい)を識別して車を走らせるにはどうしたらいいか?ロボットをプログラミングしたことのある生徒であれば、マイコンボードに色を識別できるカラーセンサーを新たに接続する必要があると思うかもしれません。しかし、このワークショップではそれは許されてはいません。それではどうするのか?今回はSTEM Duが備えている機能を工夫するしかありません。
ロボットカーをプログラミングによってライントレースさせるのはプログラミング教育における一種の流行です。この流行が思わぬ方向に向かうと「いかに簡単にプログラミングができるか」という思考になり、「ブロックによるプログラミングでこんなに簡単にライントレース カーを作れます!」という製品が誕生してしまいます。これは本末転倒で、そこには学びも何もなく簡単にライントレースカーを「組み立てる」ことができてしまいます。
ライントレースできることが大前提でその先に別な課題がある場合は、ライントレースにハードルを設ける必要はありませんが、ライントレースそのものが学びの中心にある場合、そのハードルを下げることは学習機会の喪失に繋がります。
このワークショップで生徒がの大課題は「ライントレースカーの作成」ですが、その過程にはいくつもの中課題、小課題があります。それは「センサーと床の距離」「プラダンと床の摩擦への対応」「車輪の回転速度(早すぎるとセンサーが対応できない)」「明るさへの対応(部屋が変わった場合、窓際と部屋の奥での違い)」など多岐に渡ります。
生徒たちは、機体とプログラミングの調整の試行錯誤を2時間以上続けたところで昼食の時間となりましたが、誰一人として手を止めようとする気配がなく、1時間延長し終えたところでやむなく中断。昼食を挟んでさらに1時間、計4時間以上試行錯誤を繰り返しました。それほどにこの課題だけでも熱中することができるということです。
この学びで培われるのは、いわゆる学科テストでは測りにくい21世紀型スキルで、プログラミング教育、STEAM教育は本来このような前のめりになれる環境が非常に重要で、このワークショップでは、想像力、問題解決能力などの力が自然と培われていきそうです。
深圳市が目指す「Maker教育(創客教育)」は、埼玉大学STEM教育センターの「ものづくり教育」によるSTEM教育と目指す方向性が非常に近いのですが、世界中のプログラミング教育、STEM教育が発展途上であるように、深圳のMaker教育も発展途上です。埼玉大学がその学びを10年以上前から続けているということで、今後、埼玉大学と深圳のSTEM教育のコラボレーションから生まれるSTEM教育の発展に期待できそうです。